ソプラノ歌手、田月仙さん 歌で日韓友好の懸け橋 文化交流基金賞を受賞

歌で日韓友好の懸け橋 文化交流基金賞を受賞

 在日コリアン2世のソプラノ歌手、田月仙(チョン・ウォルソン)さんが日課の相互理解に貢献したとして、9月に日韓文化交流基金賞を受賞した。

 田さんは「日韓関係がぎくしゃくしても、歌を通して有効を訴えていきたいと」と話し、12日に都内でデビュー30周年の記念リサイタルを開く。

 立川市生まれの田さんは、高校まで朝鮮学校で学び、音大を卒業後の1983年にデビューした。西洋のオペラに「イムジン江」など朝鮮半島の歌を加える独自のリサイタルを続けてきた。

 85年に北朝鮮に招かれ、金日成主席の前でアリアを熱唱。サッカーの2002年日韓ワールドカップでは、日韓首脳に両国の歌を披露した。韓国でも「海峡を越えた歌姫」の名で知られる。

 田さんが取り組むのは朝鮮半島の古い歌の発掘だ。日本の植民地統治期に作られ、韓国では「親日的」と禁止された歌は長く歴史に埋もれていたが、韓国の音楽家にインタビューしたり、300枚を超えるSP盤などの古いレコードを収集したりして掘り起こした。

 12日に千代田区の紀尾井ホールで開かれる記念リサイタルでは、南北分断と同時に作詞家が北朝鮮に渡り、韓国忘れ去られていた歌謡なども披露する予定だ。

 9月25日にソウルで行われた同基金賞の授賞式で、田さんは「日本と韓国という二つのふるさとの歌を通して、文化交流に携われて光栄だ」とあいさつした。

2013/10 読売新聞

Chon Wolson officilal Website www.wolson.com